古代草木染色の復活
日本の染織文化のリサーチと保全
日本各地で古来から育まれてきた、染織の文化。そこにはその土地の自然の美が現れ、それぞれの職人の、きものや染織を纏う人への想いが込められています。染織を知ることは、その土地の自然を知ることであり、その土地の風土や、職人の物語を知ることです。
そのような考えのもと、北海道から沖縄まで日本全国の染織産地を訪ね歩き、その土地ならではの歴史や、固有の風土が育む染織文化を取材、記録してきました。各地の自然環境、染織の生産工程、染織に携わる人々、産地ごとに特色のある素材や道具など、これまでに撮影しアーカイブした写真は、2万点にも及んでいます。
実際に現地をリサーチし、染織作家との交流を深めるなかで、各地の風土こそが、その土地の染織をつくり、それに携わる人を育んでいることを実感しました。奄美の大島紬は、鉄分を多く含む大島の泥で染めるため深い黒へと染まります。津軽のこぎん刺しは、厳しく長い冬を背景に、粗い麻の衣服に木綿の糸で刺し子を施し、暖を取ろうとすることから生まれました。そのように染織文化には、その土地の自然、歴史、風土がありありと現れているのです。そこにあるのは土地土地の多様性であり、自然との関わりの物語です。
私たちは日本の染織文化のキュレーターとして、それぞれの産地の歴史を紐解くことで、その文化を記録・発信し、保全する取り組みを行なっています。